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 日本国内のメーカー別コースター分布は?(その2)

今回の自由研究は、前回やった研究の続きをしたいと思います。

前回やった研究⇒日本国内のメーカー別コースター分布は?(その1)
を読んでいない方は、そちらから読まれることをお勧めします!!

前回は、研究の目的や方法・予備知識・収集したデータなどを載せました。
今回はその次の段階である、研究結果について公表し、分析を行います。

なお、このページでは「Bolliger & Mabillard」を「B&M」と、略して表記しております。
ご了承下さい。

まずは、前回も掲載しましたが「研究の目的」だけ、お浚いしておこうと思います。


研究目的のおさらい・今回の研究課題
収集データのまとめ
海外製・日本製の比率はどのくらいのものなのか
製造会社別の詳細な比率はどのくらいのものなのか
次回予告

 研究目的のおさらい・今回の研究課題

まずは、前回も掲載した「研究目的」を、ここにも載せておきます。

(1)日本国内にあるコースターの海外製・日本製の比率はどのくらいのものなのか調べる。
(2)製造会社別の詳細な比率をだす。
(3)できれば地方別の比率をだす。
(4)できれば地方別の人口比対コースター密度をだす。
(5)できれば各時代別の海外製・日本製比率をだす。

今回は、この研究目的の(1)〜(2)をやっていきます。

 収集データのまとめ

前回の研究で収集したデータを地方別・メーカー別に集計し、表にしたのが以下の画像です。
細かくなってしまいましたが、まぁ見てみてください。

詳しく見たい方のためにExcelファイルも用意しました。
(syuukei_hyou.xls:28kB)syuukei_hyou.xls

 海外製・日本製の比率はどのくらいのものなのか

さぁ、一つめの研究課題「海外製・日本製の比率」について、結果を出そうと思います。

上記の集計結果から「合計」の部分だけを抜き出して、
そのデータの割合を計算し、「円グラフ」に表したのが以下の画像です。

左側に円グラフ、右側に元データを載せておきます。
下段には、この結果の解説を書いておきます。

海外製・日本製の比率
円グラフ 元データ

海外
56
国産
100
その他
51
不明
26
 

 この結果に対する解説

この様にしてグラフの結果を見てみると、研究前に管理人が予想していたよりも、はるかに国産コースターの割合が高かった。

補足として付け足すと、その他の割合が以外と多いように感じるが、その他のほとんどが、三精輸送機・豊永産業・池田ワークス・谷口製作所などの国産コースターであり、その他の中の海外製は、少数である。

その様に考えると、海外製と国産コースターの比率にはかなりの差があることになる。
単純に、その他のコースターの8割を国産とすると、その差は...海外製:国産 = 2:5程の、すさまじい差が開くことになる。これには驚きだ。

しかし、データ収集中に思ったことは、国産コースターは確かに数は多いが、比較的に設置年が古いものも多いと言うことだ。
特に、70'sや80'sに設置された国産コースターが、現役バリバリで動いてはいるが、新機種がない...様な遊園地・テーマパークが多い様な気がした。
逆に、外国製の大型コースターは、90'sから設置台数が大幅に増加した。

そう考えると、現在こそ、国産コースター圧倒的優位とされるが、これからは、外国製コースターの割合が増えていくものと思われます。
メーカー別の解説については、この次の解説でたっぷりとすることにします。

 製造会社別の詳細な比率はどのくらいのものなのか

お次は、二つめの研究課題「製造会社別の詳細な比率」について、結果を出そうと思います。

上記の集計結果から「小計」の部分だけを抜き出して、
そのデータの割合を計算し、「円グラフ」に表したのが以下の画像です。

左側に円グラフ、右側に元データを載せておきます。
下段には、この結果の解説を書いておきます。

製造会社別の詳細な比率
円グラフ 元データ

Intamin 9
B & M 3
Arrow 6
Vekoma 12
Schwarzkopf 2
Mack 3
Zamperla 14
Pinfari 1
Zierer 3
S & S 2
Morgan 1
TOGO 29
明昌 43
泉陽興業 28
その他 51
不明 26
 

 この結果に対する解説

上記の研究結果に見られるように、国産メーカーと海外メーカーでは大きく比率が違うため、1社あたりの製造台数も、国産と海外製では大きく違ってくる。

特に国産は、その他も含めたった6社(TOGO・明昌・泉陽興業・三精輸送機・豊永産業・池田ワークス)で、50%以上の割合を占めているのに対し、海外製は、たった24%の割合の中に11社ものメーカーが犇めきあっている。

このことから、たしかに海外製コースターは、ラインナップが多く、需要を多く発生させるものが多いが、敷居が高く、日本メーカーに比べ営業所も少ないため、なかなか手がでない遊園地・テーマパークが多いのだろうと思われます。
ハイリスク・ハイリターンなのが海外製コースターなんですねぇ。(ドラゴンコースターなどを除き)

 海外製メーカーの解説

海外製コースターで、日本での稼働台数が一番多いのは、Zamperla社です。
しかし、設置されているコースターのほとんどがドラゴンコースターで、小規模なものばかりです。

上記グラフ中にある海外メーカー11社の内、既に消滅している会社が2社(Arrow・Morgan)あります。
そのようなメーカーにはもう期待ができないとしても、海外製コースターは、近年じわじわと勢力を拡大しつつあります。
事実、最近テレビなどで話題になるコースターは、海外メーカーが設計・製造したものばかりだと言う実感があります。(一部のコースターは、設計が海外メーカーで製造が日本メーカーなんてこともあります)
近年に出来たコースターで有名なものを出してみると(ええじゃないか・カワセミ・サンダードルフィン・ザターン・Hollywood dream the ride)などなど、出せばキリがありませんが、近年にできた国産コースターと言えば........
と言うような感じで、パッと浮かびません。10年くらいさかのぼればなんとか浮かぶんですが...
これが、現在の海外製と国産の関係の現実です。

確かに、国産メーカーも、数は製造しているのでしょうが、話題性についてはイマイチです。
よくあるのが、近年でも、九州TOGO製の小規模コースターであったり、コースターは泉陽興業製の屋内コースターだったり。
そんな感じなので、海外製コースターがこれから増えていくのは確実でしょう。

そして、現在日本で一番脚光を浴びている海外メーカーが「Intamin AG」二番手が「B & M」です。
その2つのメーカーのコースターは90's〜現在にかけて、圧倒的に台数を伸ばしています。

特にIntamin製の木製コースターは、90's前半の城島高原「ジュピター」に始まり、最近ではひらかたパーク「エルフ」まで、ロングセラーしています。
海外でのIntaminヒットコースターの縮小版(ザターン・サンダードルフィン)も日本に進出。
Mega-lightと呼ばれるタイプ(カワセミ)も日本に。

B & Mは、90'sに多くのインバーテッドコースターを日本に設置し、一気に知名度を上げました。
最近では、B & M製Megaコースター(Hollywood dream the ride)が設置され、日本ではインバーテッドだけだったB & Mに大きな動きがありました。

この2社のコースターは、まだまだ日本に設置されるだろうと思われます。

 国産メーカーの解説

ぱっと見分かるのですが、国産コースターの設置台数は「TOGO・サノヤスヒシノ明昌・泉陽興業」の三強です。
その下には、その他に含まれている「三精輸送機・豊永産業...etc」などが続いていますが、とても三強には及びません。
これが、現在の国産コースターメーカーの構図です。

海外から見てみると、日本のコースターメーカーで一番有名なのはTOGOだったりするものですが、以外にも日本国内の設置台数が一番多いのは「サノヤス・ヒシノ明昌」だったりします。
この背景には、他のメーカーに比べてみると、純粋に「ものづくり力」が他のメーカーよりも高いことに起因するのではないでしょうか。

海外でのTOGOの評判を考えてみてください。それは、「痛い・不快・汚い」の三拍子です。さすがに言いすぎだと自負しておりますが、実例を見てみると明らかなことです。
http://www.rcdb.com/m/ja/id33.htm
TOGOは海外戦略を急ぎすぎたが故に設計も体に無理なものに、それに対する訴訟の結果、事業縮小に追い込まれたのです。日本には、良質コースターがたくさんあるのですが...

それに比べ「サノヤス・ヒシノ明昌」は設計さえ完璧ならば、他のメーカーよりも高い技術力を発揮します。
無理な海外進出を避け、日本のコースター製造により安定した経営を続けています。
絶叫度がマニア向けではなく、広い層が乗車できて楽しめるが中途半端ではないコースター(キャメルコースター悟空・GAO...etc)や、逆に絶叫度の高いもの(ビックバーンコースター・LSコースター...etc)も作ることができます。
「サノヤス・ヒシノ明昌」は、設計どうりにものづくりができます。
S&S Arrowの設計・明昌が製造の「ええじゃないか」は、良い例ではないでしょうか。
乗り心地の良さはおろか、米国で製造された兄弟機「X2」よりも乗り心地は良いそうです。

この2社の例を見てみると、やはり日本のコースターメーカーは、日本だけの需要に答えるべきだと言う思いが巡ります。

しかし、TOGOが業務縮小をするまでは、日本製の革新的コースターを生み出していったのはTOGOだと言うことを忘れてはなりません。

次は、海外メーカーと国産メーカーの関係について解説します。

 海外メーカーと国産メーカーのビジネスマネジメントの違い

上記で述べましたが、国産メーカーは日本だけの需要に答えるべきだと、管理人は思います。
それは何故か。遊園地・テーマパーク側にとって...
⇒できるかぎりの経費削減をしたいとなると...海外メーカーよりも営業所が多く、発注のしやすい国内メーカーを選ぶのは必至のこと。
⇒インパクトがあり、需要を呼び込みたいとなると、バリエーションの多い海外メーカーを選ぶのも必至のこと。

つまり、国内メーカーは日本だけの需要で十分に経営が成り立つのではないか。と言うのが管理人の考えです。

それに比べ、日本に進出している海外メーカーの例を見てみると、グローバルな視野で需要があるメーカーがほとんどです。
共にスイスに本社を置いている「Intamin AG・B&M」の例を見てみましょう。

現在、上記2社のコースターは世界中でかなりの数の需要があります。
しかし、本国(スイス)内にはまったく需要がありません。それは、元々の需要(人口・設置場所...)
が、ほとんどないからです。日本とは対照的ですね。

つまり、上記のことから言えるのは、現在グローバルな視野で需要を得ているコースターメーカーの中には、もとからグローバルな視野で経営戦略を立てているメーカーがある。と言うことです。
世界中からの支持を得るためには、革新的なコースレイアウト・気持ちよさ・乗り心地の良さや他の様々なスペックについてかなりの高評価が必要になります。

このことから、現在ヒットしている海外メーカーの品質が高いのは自明であると言えます。
日本でも、その流れに乗って、これから海外製のコースターが増えるのではないでしょうか。

 次回予告

次回は、研究結果のまとめの続きである、
「地方別のコースター製造会社比率」「地方別の人口比対コースター密度」
について研究結果をまとめていきます。沿うご期待!!


最終更新日:09/1/24

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